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百万済州人ネットワークの産室、在日済州人センター
2011.10.04 (火) 李昌益 contributor@jejujapan.com

 済州大学校在日済州人センターは、「在日済州人」という言葉を看板に掲げて、彼らのための事業を開始した世界に類例のない組織である。このセンターをつくるために約10余年に及ぶ準備期間を費やし、展示館と研究施設を収容する建物が昨年6月に着工し、現在は、来年5月の竣工を待ちわびているところである。

   
▲ 済州大学校在日済州人センター一同。(右から)イ・チャンイク教授、キム・ボヒャン専任研究員、ヤン・ジェチョル事務長    撮影 : 趙啓垣
在日済州人センターの設立の目的は、済州出身の在日同胞がこれまで故郷済州に対して示してくれていた愛情と献身を顕彰し、済州に住む私たちと在日の彼らとの意思疎通と交流を強化することによって、次第に手を携え済州人として一体となれるように、その媒介の役割をはたすことである。

そうした設立趣旨を十分に果たすためには、以下の事業が必須である。①彼らが生きてきた過程に関する多様な研究、彼らのうちでも故郷をよく知らない3,4世を対象に故郷に関する自負心の種を植え付け、故郷の真の姿を知らせるような文化、歴史、言語の教育実施、済州を訪れる彼ら同胞に対する各種の情報とサービス提供、④彼らのうちでも生活の苦しい人々を物質的・精神的に援助すること、などである。さらに、上記の趣旨に基づく事業ができるように多大な支援を与えてくださった大阪の南海会館の金昌仁会長の実践哲学を若い学生たちに教え、まっとうな生の意味を考える機会を与える役割も果たしたい。

在日済州人1世は尋常ではない逆境、血と汗と涙にまみれた生活のなかにありながらも、自分自身のことよりも故郷を優先に考えて、その考えを実践してきた。そうした自己犠牲の歴史があったからこそ今の済州がある、と断言してもいいだろう。済州の60年代と70年代の日々の食事にも事欠いた頃、故郷済州の学校に金品や雑誌、書籍、楽器などを送り、人材養成に力を傾け、村の会館や道路、電気、水道の設備などにも多くの寄付をし、済州経済が発展するように助力を惜しまなかった。済州の生命の木とでも言うべきミカンの苗木を送ってくれ、その木こそが現在の済州を富裕な島にするもっとも重要な契機となった。

しかし歳月が流れ、彼らの存在は済州人の記憶から遠ざかりつつある。忘れてはならない存在なのに、次第に忘れ、無関心になってしまった。彼らの郷土愛とその実践を後続世代に知らしめるべきなのに、ついついそれを後回しにしてきた。それでもなお、彼らは済州を恨みはしなかった。現在でもなお、その後裔たちが一世の後を継いで、黙々と郷土愛を実践し続けている。

彼らは自分自身が困難の中にあっても、それを口にすることはない。ただただ、今や済州に助けの手を差し伸べることができなくなってしまった現実に苦しみ、故郷の蜘蛛の巣のように伸びる道路と各種の汚染、無分別な開発、さらには、済州の昔の温かった姿が消えていくのを見つめながら、心を痛め、悔しい思いを募らせている。そんな彼らに、済州はお決まりの「在日済州人を助ける」といった言葉を口にしながらも、実際にはほとんど何もしないままに長年が過ぎ去り、そんな美しい言葉も今では人をうんざりさせる空手形に化してしまった。そして、在日済州人は今や、済州に対して期待もしないし、信じもしない。

こうしたもどかしさと痛みに共感し、彼らの心を思いやるために、在日済州人センターが済州大学校に設立されることになったのだが、これは学校だけではなくて、100万道民全員の使命である。もちろん、大学が彼らの業績を顕彰し、本格的な研究活動と各種の事業を主導するつもりではあるが、済州道民の全員が一丸となって、彼らのための各種の事業を実践しないかぎり、何一つ成就されるはずもない。

さしあたっては、展示館のための各種の遺物と写真資料などが必要で、その確保が至急を要しており、道民の積極的な協力が求められる。この事業には多くの人々の関心が必須である。さらには、次第に困難を増している彼らのために、精神的・物質的な支援も必要となっており、それもまた、私たちが継続して取り組まねばならない課題である。 

最近、日本に居住している外国人の帰化が増加している。その中でも韓国や朝鮮国籍を持った人々の帰化が1年に1万人を超えており、そう遠くない将来には、そうした国籍の意味がさらに希薄化するにちがいない。アイデンティティが次第に曖昧になっていく彼らを、私たちの同胞と考えて打ち出される政策と救いの手の必要がこれまでにもまして切実になっている。在日済州人センターはそれに応える事業を道民と手を携えて主導的に果たしたいと願っている。始まりは遅くなったが、深みのある研究と与えられた役割の着実な遂行、何よりも在日済州人を境界人でなどではなく、紛れもない済州人とみなし、その存在に照明をあてていく事業をセンターが率先して担う所存である。

 

 

<  在 日 済 州 人 ギ ャ ラ リ ー >

在日済州人センターでは在日済州人の暮らしぶりを示す写真、使用されていた物品や書類などを収集している。収集、寄贈された資料は2012年5月に開館する在日済州人センター展示館にて常時、展示する計画である。 

   
▲ 1. 在日済州人は伝統文化を重視した。上の写真は日本現地で韓国式で行われた還暦祝い。2. 在日済州人が数多く住んでいた大阪生野区鶴橋駅。大人と子供が一緒に餅を搗いている。3. 観徳亭前、在日済州人が寄贈した椰子の木。現在ではその姿を見ることができない。1. 2. 3の写真の出所: 在日済州人センター

 

 

 

李昌益(済州大学校在日済州人センター長、日語日文学科教授)   contributor@jejujapan.com

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