Update 2012.12.12 水 18:33
トップページ お気に入り
全記事一覧
首页 > 新聞 > 文化芸術 > グルメ | Food
済州の長寿食文化 「ウヨンバッ(家の敷地内の畑)」での野菜栽培
2012.05.23 (水) 吳栄周 吳栄周

春がやってきたが、冬のように寒い3月である。冬の間、食べていたキムチも酸っぱくなって、ご飯の味もなくなる時期である。キムチが酸っぱくなるとビタミンの含量も少なくなる。そこで食卓に新たにビタミンを補充してこそ、4月にやってくる春特有のけだるさを追い払うことができる。そうした時期に済州では、一冬の間に家の敷地内で丹精を込めて育てた野菜を料理して、食欲を蘇らせ、健康も回復した。

家の敷地内の畑を済州語で「ウヨン」、「ウヨンバッ」、あるいは「ウッチャ」と呼ぶ。「ウヨン」は家の敷地を取り囲む石垣内の内棟や外棟の横あるいは前後に位置し、低く石を巡らした空間である。済州伝統の住居空間は本土とは異なり、まずは建物の位置を定めた後に敷地が決められるので、敷地の形態が不定形になって、敷地内には不要な空間ができる。そこで台所に近い空間に甕置き台を作り、その横で季節の野菜を栽培した。済州ではそれを「ウヨン」と言い、主要な穀類を栽培する場所を畑(田)といい、用途と名称を異にした。

「ウヨン」は食事ごとに遠い畑に出て行って副食を準備しなくてはならない煩わしさを免れさせてくれた。季節によって大根、白菜、チシャ、エゴマの葉、キュウリ、ニンニク、細葱、唐辛子、ニラなどの季節野菜を栽培してきた。それらの野菜を済州語で「ソンキ」と呼ぶ。ソンキはスープの具とキムチ、和え物や生野菜として、さらにはヤンニョム(合わせ調味料)などに用いた。
 

   
 ▲ 「ウヨン」で育てた旬の野菜こそ健康的な食卓づくりの主役     写真提供:済州民俗村

済州の長寿の根源「ウヨン文化」

済州の畑がエネルギーを生産し、人体に供給する発電所と言うならば、ウヨンはビタミンとミネラルを一年中生産し供給するバイオ食品工場のようなものである。周知のように、ビタミンと無機質は新陳代謝調節になくてはならない必須の調節栄養素である。必要なときに必須の栄養素が供給されないと、生体リズムが壊れて、健康を維持することが難しくなる。また、野菜のビタミンは収穫後、時間が経過するにつれて急速に破壊されるのが特徴である。

しかし「ウヨン」で栽培された野菜で作られた済州の伝統料理はそんな弊害を免れている。ウヨンは必要なときに新鮮な野菜を台所に直ちに供給できる最短距離に位置しているからである。したがって、済州の食卓は季節を問わず、ビタミンとミネラルが豊富な料理で満たされる。伝統的に済州には長寿の人が多いという。長寿と食生活は密接な相関関係を示す。済州の伝統的な食生活は「ウヨン」で始まり台所に、そして食卓へとつながる。したがって、済州の長寿の根源はまさしく「ウヨン文化」にあると言っても過言ではない。


春に食欲をそそる抗癌キムチ「トンジ(冬茎)キムチ」

済州の冬は漢拏山を除いて厳冬雪寒がない。そのおかげで、ウヨンには本土とは異なり、真冬でも新鮮な大根や白菜がありふれている。厳しい海風に耐え抜いてきた大根は肉質が引き締まり、甘みがあり、雪に当たった「ボテギ白菜」(非結球形の済州特産白菜)はさくさくとして香りがよい。3月になると、ウヨンの白菜と大根は種子を作るために、蕾がぶら下がった茎が元気に伸びてくる。花が満開になり茎の繊維質が強くなる前に、若い春茎を折って茹でて食べもし、キムチ漬けにしたりもする。済州語で春茎を「トンジ(冬茎)」とも呼ぶので、「トンジ(冬茎)キムチ」はトンジ(冬茎)でキムチを漬けたという意味の言葉である。 トンジキムチは 冬前に準備しておいた普通のキムチが切れたり、酸っぱくなってしまう春頃の珍味として食べるキムチである。ともかく、済州の春を食卓で知らせる伝令使のような食べ物である。トンジキムチは本土にはなく、済州だけにある郷土キムチである。


トンジキムチの栄養

トンジキムチは茎とそれに付着している緑色の葉を使用するので、ビタミンAとC、そして繊維質の含有量が多いのが、白菜キムチと異なる点である。また、独特な味をかもし出す硫化物を多く含有している。この物質は肝臓で解毒酵素の作用を活性化し、発癌物質を無毒化し、尿として排泄させる。実際に海外諸国の人口集団を対象にした疫学調査で、この物質が多く含有されている十字花科野菜(白菜、大根、キャベツ、ブロッコリー)を多く摂取する集団は、乳癌と大腸癌の発病率が非常に低いことが明らかになっているという。

トンジキムチは噛むとサクサクして、白菜キムチでは感じることができない特別な味を楽しむことができる。済州島の土質は唐辛子栽培に適さないために、キムチを漬ける際に粉唐辛子を多く使わないが、最近では本土のように、粉唐辛子をたくさん入れる。

 

                                                       ト ン ジ キ ム チ                                               

材料
   
 

トンジ(塩漬けにしたもの)、ヤンニョム、ネギ、ニンニク
生姜、鰯の塩辛、粉唐辛子、もち米の汁、ゴマ

作り方
トンジ菜は茎があまり硬すぎるのは避けて、深い緑色で、丸々として、繊維質がやわらかく、甘みが出るものを選ぶ。トンジ菜を流水できれいに洗った後、塩や塩水に3時間程漬けて、青臭さを取る。途中で上下にひっくり返したりして、均等に漬かるようにする。ニンニクと生姜は皮をとって、きれいにみじん切りにする。

キムチを漬ける前日にあらかじめ炊いて冷やしておいたもち米に、粉唐辛子を入れてふかしておき、鰯の塩辛とみじん切りのニンニク、生姜、ゴマなどを混ぜ合わせてヤンニョムを作る。十分に漬かったトンジ菜を洗って、籠に入れて水気をしっかりと抜き、ヤンニョムであえる。トンジを小さな甕に丁寧に入れて、しっかりと漬けた白菜の葉をかぶせて、重石を載せて、醗酵させる。トンジキムチはしっかりと漬かったものがいい味を出すので、他のキムチが酸っぱくなる頃から食べ始める。塩をきつくすると、初夏まで食べることができる。



吳栄周(済州漢拏大学校ホテル調理学科教授)   contributor@jejujapan.com

     関連記事
· 済州の民俗酒、オメギ酒、コソリ酒· 済州ミカン、韓国の健康食品
· 済州馬肉食文化と健康料理· 済州の旧正月の食文化
· 済州の伝統婚礼と豚肉料理文化
ⓒ 済州ウィークリー(http://www.jejujapan.com) 記事の無断転載を禁止します | 版.聲明  
Most Popular
Photo
「在日済州人、彼らのお蔭で今日の済州があるんですよ」
兪弘濬『済州文化の深淵を込めました』
〖WCC〗世界の環境リーダー、人類に問いかけたメッセージは?
〖WCCあれこれ〗済州の生命(いのち)の森、「コッチャワル」
[청소년보호정책]
Mail to editor@jejujapan.com   Tel. +82-64-724-7776   Fax.+82-64-724-7796   청소년보호정책 : 고은영
登録番号 : Jeju Da 01093   登録時間 : 2008年 11月20日   発行人 : 宋姃姬
Copyright © 2009 jejujapan.com 掲載の記事・写真・図表など無断転載を禁止します。すべての内容は韓国の著作権法により保護されています。