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神々の庭園、済州の河川と渓谷
2012.05.11 (今) 尹龍澤 contributor@jejujapan.com

以前には、済州島はいくら雨がたくさん降っても
浸水被害などほとんどない地域だった。

古代人類文明は川に沿って形成され、大部分の都市も大小の川に沿っている。大体において、渓谷の水は小川を形成し、小川の水が集まり川となり、その川の水が海に流れ込む。しかし、済州島の場合は事情が異なる。島の中央に漢拏山があって、南北にV字形の侵食渓谷があるのだが、常時水が流れる川はない。河川の源泉地である1,950mの漢拏山から海岸までそれほど距離がないので、河床に水が抜けなくても、河川に常時水が流れることはほとんど不可能なのである。

済州島は漢拏山を中心に見た場合、緩やかな傾斜をなす東部と西部にはコッチャワル地帯や溶岩洞窟地帯が発達している。それに対して、急傾斜をなす南部と北部は渓谷と河川がよく発達している。済州島には総計126箇所(地方2級河川60箇所、小河川66箇所)の河川があるが、下流で一つに合流して独立した河川だけを数えれば34箇所となる。河川の方向は漢拏山を頂点にして、海岸方向に放射状の水系をなしており、河川の長さは大部分が10kmに至らず、最長の川尾川も25km余程度にすぎず、済州河川の総延長は771kmになる。

済州島では年中水が流れる河川はほとんどなく、大抵は大雨が降った時に限って水が流れる乾川である。もちろん、例外はある。漢川上流の耽羅渓谷、都近川(無愁川)上流のY字渓谷、江汀川の源泉地である霊室渓谷、孝敦川中上流のトンネコ渓谷と白鹿渓谷では、上位レベル地下水の河床湧泉だからいつでも水を見ることができる。そして西帰浦市の3大瀑布のひとつである天地淵瀑布は淵外川、正房瀑布は東烘川、天帝淵瀑布は中文川へとつながり、安徳渓谷の倉庫川、トンネコの孝敦川、訪仙門と龍淵の漢川、山地港近くの山地川などは、昔から船員たちがその景勝を楽しんだ所である。そればかりか、江汀川、岳近川、外都川、翁浦川には年中水が流れて鮎が生息し、とりわけ江汀川は西帰浦市民の飲料水の80%を供給している。

   
▲ (左から)70㎜以上の雨が降ると絶景を誇るオント瀑布、瀛州10景の一つに数えられている訪仙門         撮影:尹龍澤

済州島の渓谷と河川は岩盤、絶壁、湖などが続いており、普通の人々が接近するのは容易ではないのだが、神々の庭園と言われるほどに秀逸な景観と植生を誇る。とりわけ河口から6kmの距離にある訪仙門は、春になれば花々が壮観をなし、奇岩絶壁として昔から詩人墨客たちが数多く訪れ、彼らが絶壁と岩に詩を刻んだ磨崖銘が今でも数多く残っている。そこは瀛丘春花と呼ばれ、済州島の中でも卓抜した景観を称える瀛州10景の一つに数えられている。最近では渓谷と河川の美しさに心酔し、トレッキングするマニアたちも次第に増えている。

済州島の河川はその大部分が乾川なのは、河川に水を供給できる地表水と伏流水が不足し、河床の湧泉も不足しているからである。それはトンネコ渓谷、江汀川、翁浦川、外都川などのように、河床が他の河川ととりたてて差異がなくても豊富な湧泉で常時水が流れているのを見るだけで、十分に理解が可能である。

済州島の河川は、集中豪雨時に高地帯で形成された大量の水を下流に急速に運搬する排水路の役割を果たしている。とりわけ70㎜以上の暴雨が降る時には、地下水の過飽和によって形成された地表水と高地に位置する湧泉水が一挙に河川に流れ込み、「川の崩壊現象」が生じる。川が崩壊すると、漢拏山と中山間の渓谷は荒々しい水流を引き起こす河川になり、絶壁は壮大な瀑布に豹変する。したがって山間では暴雨が降り注いでいるのに海岸地域では天気がいいので、何も知らずに河川を越えていると、いきなり押し寄せた水流によって人命被害をもたらす場合もある。

以前には、済州島はいくら雨がたくさん降っても浸水被害などほとんどない地域だった。東部と西部地域はコッチャワル地域だから、雨が降ると直ちに地中にしみこみ地下水となり、南部と北部地域はよく発達した河川が自然の排水路の役割をはたしてくれていたからである。しかし、中山間にゴルフ場が数多く作られ、四方八方に蜘蛛の巣のように道路が通じ、都心の河川に覆蓋を施して道路や駐車場として使用しているので、多くの地形変化が生じた。そのせいで、今では済州島でも暴雨が降り注ぐ時には、排水が追いつかず、浸水と洪水を心配しなくてはならなくなってしまった。

そこで、済州道庁では水害常習地の整備という名目で大々的に河川整備をした。河川の底を深く掘り、河床の岩盤を割り崩して平坦化し、曲がりくねっていた河川をまっすぐにする作業をしている。しかし、そうした河川整備事業は、自然の河川の植生と生態系を破壊するばかりか、洪水時に流速をさらに速めて被害を拡大するという批判がある。とりわけ、2007年9月の済州史上最大の災害として記録されている台風「ナリ」の被害は、道路拡張による地形変化、都市化による河川整備と覆蓋、無分別な河川周辺の開墾事業などが、想像を絶する災害をもたらしうるという教訓を私たちに与えてくれている。


尹龍澤(ユン・ヨンテク)
済州大学哲学科 敎授。耽羅文化硏究所 所長。済州道 西帰浦市 江汀で生まれ育った。東国大学にて哲学博士学位取得。済州島の文化・環境・平和運動に参加する傍ら、関連文献の執筆に勤しんでいる。代表的な著書として『済州島の新舊間 風俗硏究』がある。

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瀛州10景の一つに数えられている訪仙門 撮影:尹龍澤
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