Update 2012.12.12 水 18:33
トップページ お気に入り
全記事一覧
首页 > 新聞 > 文化芸術 > 文化 | Tourism
魅力的な観光地にしたければ、再び草家を建てようではないか
2012.05.08 (火) 金唯正 contributor@jejujapan.com

文化目的の旅行

私たちが世界を旅行した際に感動を受けるのは、他でもなくその旅行対象地の文化である。誰であれ、モンゴルの草原にコンクリートのビルの森を見るために行くわけがなく、フランスに草家を求めて旅立つわけもなく、イタリアへ柿渋染めの服を買うために行くわけもない。旅行というものは本来、自分が知らないこと、見たことがないもの、行ったこともないところに対する探検のようなものだからである。実際、旅行者たちが済州を旅行地に選んだ場合、その理由もまた明らかであると言わねばならない。済州を選択した旅行者たちは文字通り、済州だからこそ見ることができ、食べることができ、感じることができる感覚的な経験を必要としている。そうした旅行者たちは、自国や自分たちが暮らしている都市で味わえない済州島の魅力を求めてわざわざ経費をひねくり出して、蒼海孤島である済州島を訪ねてくるのである。


草家、観光の競争力

草家は近代化以前の独特な情緒をたたえた済州島の景観の代表的なものである。草家の時代がつくり上げた文化景観は昔の人々が営々と創りあげてきたものであり、そうした文化景観を破壊すること自体が観光の意義に逆行するものだと言わねばなるまい。

   
▲ 草家の屋根作り    撮影:金唯正

現在の済州は、ラスベガスをベンチマーキングして一日でも早く華麗な観光地に変貌し、反転を果たそうという欲望 に溢れている。人工の光で一杯に満たそうと必死で、プレハブ建築とガラスの都市を夢見ている。華麗さだけが素晴らしいわけではないはずなのに、現在の済州は、自然材や地元産の原材料に対する関心を失い、華麗で便利な娯楽施設だけを追い求めている。そうしたことは数万年にわたって済州を支えてきた済州文化のアイデンティティーを破壊する暴挙に他ならない。そのままでも十分以上に美しい済州の自然の上に、第2のラスベガスの灯火がいたずらに明るい光を放ちつつある。

振り返ってみれば、かつての韓国の近代化は私たちの伝統文化を取り返しのつかないほどに壊しながら、資本主義の虚像を構築した。そして今では、その弊害が私たちの伝統文化を見くびらせるイデオロギーになり、あげくは自分が備えているものの重要性に気づかず、そうしたものにすっかり眼と耳をふさいでしまった。いまだに草家の価値を知らないままに観光を云々している済州道の政策は、観光大国の道には逆行するものである。


再び草家を建てよう

草家は自然そのままに、済州の風土を活かしている。草家の壁は石垣で、骨格は桜の木や白樫で作る。屋根は草原で育つ茅で葺き、綱を編みめぐらして、屋根を碁盤のように堅固に縛りつけた。草家は身土不二の材料で作った最も済州らしい建築と言えるのだが、済州の漢拏山 とオルム、そして海を背景にして何一つ不自然さが感じられない自然美の極致を呈している。

実は草家はもっぱら草だけで作られた家というにとどまらず、済州人の生活全体がそこに溶け込んだ、いわば済州文化辞典に他ならない。風がその上を滑って越えていく草家の線は、まさしく私たちの祖先が、そして私が、さらには私たちの子供たちが越えていく人生の峠道のようなものである。済州の顔は済州の草家の中で完成し、草家に済州の匂いがそのままに保持されている。観光の本質というものは、そうした現地の文化的独自性を満喫することであるはずなのに、その原型である住処を失ってしまうことは済州の価値を失ってしまうことになる。草家は済州文化全体の姿だからである。

本当に草家がなくなる日には、済州は本物の済州ではなくなってしまう。そんな済州に、何のために世界の人々が訪ねてくるだろうか。何をもって世界に打って出ることができるのだろうか。済州文化の姿を失ってしまわないうちに、再び草家を建て始めようではないか。

 
   
 

 

 

 

 

  コ             ラ             ム
  金  唯  正 (美術評論家)  
    contributor@jejujapan.com

ⓒ 済州ウィークリー(http://www.jejujapan.com) 記事の無断転載を禁止します | 版.聲明  
Most Popular
Photo
「在日済州人、彼らのお蔭で今日の済州があるんですよ」
兪弘濬『済州文化の深淵を込めました』
〖WCC〗世界の環境リーダー、人類に問いかけたメッセージは?
〖WCCあれこれ〗済州の生命(いのち)の森、「コッチャワル」
[청소년보호정책]
Mail to editor@jejujapan.com   Tel. +82-64-724-7776   Fax.+82-64-724-7796   청소년보호정책 : 고은영
登録番号 : Jeju Da 01093   登録時間 : 2008年 11月20日   発行人 : 宋姃姬
Copyright © 2009 jejujapan.com 掲載の記事・写真・図表など無断転載を禁止します。すべての内容は韓国の著作権法により保護されています。