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韓日の大学生が済州島で平和と人権を学ぶ 第20回東アジア大学生平和・人権キャンプ
2012.05.04 (今) 勝村 誠 contributor@jejujapan.com

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韓国と日本の各地で毎年2回開催されている「東アジア大学生平和・人権キャンプ」が、2月19日から23日まで済州大学の主管で開催された。第20回となる今回は「戦争、人権、そして平和」をテーマに掲げ、現場におけるフィールドワークと専門家の講演や説明をもとに韓日の学生が濃密な討論を重ねた。参加したのは、韓国側が、済州大学16人、ソウル大学12人、全南大学(光州)12人、東亜大学(釜山)9人、日本側が立命館大学(京都)16人、立命館アジア太平洋大学(大分)19人と総計84人の学生たち。主管した済州大学社会学科の学生スタッフたちは、各大学の代表学生たちとインターネットで連絡を取りながら、事前準備から当日の企画マネジメントに至るまで、すべてに責任を持って運営にあたってくれた。


韓日学生の濃密な討論

初日はまず、各大学の発表者が事前学習の成果を報告しあい、知識と問題意識の共有につとめ、続いて徐勝教授(立命館大学)の記念講演を聞いた。その後、各大学の学生混成の8つの班に分かれて班別討論を行った。フィールドワークや講演会を含めて全日程を班別で過ごすのがこのキャンプの特徴である。各班には通訳ができる学生を配置し、毎晩、班別討論を重ね、韓日の学生が、自分が受けてきた教育、知識、着眼点や感じ方などについて、相違点や共通点を確認しながら討議を深めていく。もちろん、言語や文化の問題があり、通訳がついているとは言っても学生の通訳だから、仕方なくそれなりの共通語としての片言の英語を用いてのコミュニケーションになったりもして、必ずしも意思疎通が円滑にはならないし、葛藤も生じるが、5日間に亘って、友好と相互理解に努める体験は学生にとって刺激的なものである。


四・三事件の現場を訪ねて

   
 
2日目は四・三事件をテーマとした。午前中には北村里ノブンスンイを訪れ、「ノブンスンイ4・3記念館」にて、「済州道四・三事件民間人犠牲者遺族会」(以下、遺族会)のコ・ヨンスクさんから、1949年1月に起こったノブンスンイ事件について、展示の説明も交えながらその概要を説明していただいた。コさんは、遺族として事件を語り続けているのは何故かを語り、そのうでえで、若い世代に何を考えてもらいたいかというメッセージを伝えられた。午後には「済州戦争遺跡地解説士」の金成勇さんの案内で4・3平和公園、慰霊塔、博物館を見学し、「済州4・3平和財団」の張允植さんの講演を聞き、四・三事件の全体像を学んだ。帰り道に学生たちは「事前に本を読んで事件のことを知ったつもりでいたが、現場を見るとその痛ましさがキリキリと刺すように伝わってきます」、「平和公園から見下ろす海が美しいから、なおさら事件の悲惨さが重く感じられます」などと、現場で受けた印象について語ってくれた。


日本軍軍事基地の跡を訪ねて

3日目は済州島の軍事基地がテーマだった。それに先立ち2日目の夜に趙成倫教授(済州大学社会学科)の講演を聞いて見学地の概要を学んだうえで、3日目の午前には、松岳山陣地洞窟の海軍特攻基地跡を訪れた。陣地洞窟は海岸の絶壁を人為的にくり抜いたもので、その土木工事には多くの済州島民が駆り立てられた。現場に足を運んでみると、その労働の過酷さ、危険さが実感できる。

次に訪れたアルトゥル飛行場(日本海軍済州島飛行場跡地)では、まず、その規模の大きさに圧倒された。飛行場用地は当時の済州島民にとっては貴重な農業用地であった。日本海軍はそこを接収し、5年をかけて広大な飛行場を建設した。塚崎昌之氏の研究によれば、1937年の日中全面戦争以後にこの飛行場から飛び立った爆撃機は36回、延べ600機にわたって南京を空襲したという。ここは済州島民と南京民衆に対する日本による二重の加害を歴史に留めているのである。しかも、私は今回の訪問で初めて知ったのだが、この土地は、現在も韓国空軍第8546部隊場となっており、基地に転用可能であるという。また、そのすぐ近くには、朝鮮戦争勃発直後に「予備検束」された村人252人が虐殺されたソダルオルム虐殺地がある。日本軍の弾薬庫だった場所が痛ましい虐殺の現場となったのである。私たちは虐殺現場の脇にひっそりとたたずむ[ソダルオルム犠牲者追慕碑]に祈りを捧げた。


江汀海軍基地と平和の課題

午後には江汀マウルを訪れ、海軍基地   建設用地のまわりを歩いてから、「江汀マウル儀礼会館」で姜東均マウル長とキム・アヒョン済州参与環境連帯事務処長のお話を聞いた。姜東均マウル長は、建設問題が起こってからの5年間を振り返り、「我々に対して、なぜ国家の安全保障の問題に反対するのかという批判が繰り返されてきたが、決してそういうことではなく、どのような社会においても守られるべき民主主義の問題として闘っているのだ」と力説された。キム・アヒョンさんは、こうした事態に立ち至ったのは、推進側の手続的正当性の問題が大きな原因になっていると強調された。

22日は、「過去の歴史を省察し、江汀の現場も見たうえで、学生としてこれからの平和をどう展望するか」という難しい課題に関して、午前中に約2時間の班別討論を行い、午後には全体が一堂に会し、まずは各班の議論を紹介し、その後全体で議論を約3時間にわたって行った。そこでは、今回の体験について素直な感想を語る学生もいれば、事前学習で学んだ理論的なアプローチから今回のフィールドワークを整理しようと試みる学生もおり、白熱した議論が展開された。

   
 
第21回のキャンプは今年の8月に光州で、第22回のキャンプは来年の2月に広島で開催する予定である。今回のキャンプにおける討論の成果と到達点を基礎に、平和構築の課題についてさらに議論を深めていけるよう、学生たちの奮闘を期待するとともに、私たち指導教授会としても、有効な援助と助言ができるよう努力していきたい。


勝村 誠(かつむらまこと)
1957年生まれ、中央大学、同大学院で政治学と日本近代史を学ぶ。現在、立命館大学政策科学部教授(日本政治史担当)。立命館大学コリア研究センター長。2004年と2010年に釜山の東亜大学石堂研究院にて特別研究員として学外研究。日本の朝鮮植民地支配とそれに対抗した社会運動に関心がある。著書に『韓流百年の日本語文学』(共著)など。

 

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