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済州の独特な文化景観、山垣の美学
2012.03.21 (水) 金唯正 contributor@jejujapan.com

   
▲ 上から見下したときの山垣のもよう    撮影 : 金唯正

済州の山垣は、済州人の祖先崇拝思想によって、土盛りの墓を保護するために労働を積み重ねて作られるようになった歴史的産物であり、大地の美学という概念などとは関係なく出現した大地の巨大なプロジェクトである。大地を対象に数百年をかけ、代を継いで忠実に積み上げてきたその築造物は、結果的に済州の景観そのものを変えてしまい、済州の風土に新たな刻印を印すに至った。すなわち、墓を保護するための造形物が代代の努力を重ねて築造され続けることによって驚くばかりの規模に拡大し、今では全済州の平原を一つの巨大な石造形美術館としてしまったわけである。

山垣は、無名の人々が明滅する時間の中で伝統の名のもとに、玄武岩を用いて大地に描いた大事業だった。一言で言って山垣は、個人的次元を超えた共同体の美学の結晶体と言ってよいだろう。個人の創作は個人の視線で世界を見、個人の言語で表現するのに対して、共同体の美学は共同体の外からは見えない倫理と規範による共同の実践を通じて形になる。その実践の社会化過程は、その時代の社会を貫通する思想的脈絡を超えることができないという限界の中にあって、暗黙の「社会的強制性」や、「社会的必要性」のおかげで、今日の壮大な霊魂の構造物を残すに至ったわけである。したがって、「社会的強制性」とは当時政治的に主流だった儒教の常識に照らして決定されたものではなくて、僻地であるという地理的与件、牧畜に代表される特殊な産業、火山島という玄武岩地質と地形、変わりやすい島の気候、島の人々の心性など非常に複合的な要素が結合したものであった。

山垣は石垣の一種ではあるが、死の文化と直接的な連関があるという点で、他の石垣とは異なるものとして認識されている。山垣の石は誰であれ妄りに扱えない禁忌の要素を備えており、理由もなく妄りに山垣を乗り越えてはならないのである。長い距離を歩くうちに道に迷いでもしたら、山垣の内部に寝ると、そこの霊魂が保護してくれると信じられているといったように、人間的な温かさも備えている。山垣は農夫たちにとって非常に機能的な場所でもある。耕作地には風で吹き飛ばされる土くれしかないが、山垣は石を幅広く積み、ある程度の高さにもなっているので、そこに陣取って畑を眺めながら昼食を食べるのに最適の場所である。何かで急ぎの用がある時には、簡単な農器具や水などをしばらく保管したりもする。墓地に置かれたものを勝手に持ち去るような不届き者などいないだろうと安心してのことである。

   
▲ オルムと山垣  撮影 : 金唯正

以上のように様々な理由で、山垣は済州人には無意識的な親縁性を帯びている。霊魂のためのそうした築造物は既に500余年の時空間を超えてきており、その結果として実に自然なことに、山垣文化といったものを形成してきたからである。だからこそ、山垣は済州人の意図とは関係なしに、おのずと造成されるに至った大地芸術として、他の築造物よりも大きな規模で、島の風土と見事に調和した環境美術と考えられるのである。資本主義の登場によって遅まきに自覚されて始まった西欧の大地芸術運動よりも先んじて、山垣はあたかも叡智の仕業ででもあるかのように、はるか昔から大地に刺繍を施し続けているのである。

自然環境の中で落ち着いた佇まいを見せる山垣。それは、季節に合わせて表情を変える魅力を湛えながら、済州人の生と死の文化を人々の記憶の中に刻み込む健康な風土美を備えている。また、済州を訪れ、山垣を見て驚く異邦人の表情にも、山垣は大地芸術としての美しさをしっかりと刻みつけている。 


   
 

 

 

 コ   ラ   ム 
金唯正(美術評論家)  
contributor@jejujapan.com
 

 

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