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生命体の子宮であり腎臟でもある済州の湿地
2012.03.19 (月) 尹龍澤 contributor@jejujapan.com

今、済州島の海岸湿地が
危機を迎えている…
長期的に、そして広い視野で見ることが
できなかった結果である。

生命体が生きていくためには土、水、光、空気などが必要である。湿地はそうした4要素をすべて兼ね備えており、高い地域から寄せ集まる栄養素もあり、さらには、水と陽光がよく供給されて光合成作用が旺盛になされるので、世界の生態系の中でも一次生産性が最も高い。世界は既に1971年から湿地の重要性を認識し、湿地保護のためにイランのラムサールに集まり、「ラムサール協約(Ramsar Convention)」を採択している。

済州島には潮間帶をはじめとした沿岸湿地とオルムの山頂湖を含む内陸湿地がある。沿岸湿地は陸上と海洋の転移地帯として、陸上の汚染物質を浄化し、海洋生物に栄養物質を供給するので、各種の魚類の産卵場所であり、多様な底生動物の棲息地と渡り鳥の渡来地としての役割をしている。とりわけ、城山浦のトンバッダルと江汀洞のセビョル岬などで舞う数万羽の渡り鳥の群舞は私たちを童心に戻らせてくれる。253㎞の海岸に広がる済州島の沿岸湿地は済州の生態系の宝庫である。

今、済州島の海岸湿地が危機を迎えている。観光団地を造成するために埋め立てられ、海岸道路の開発、港の拡張によって、本来の海岸線の原型を失いつつあり、養殖場が乱立し、海岸が汚染され、荒廃している。長期的に、そして広い視野で見ることができなかった結果である。

そして済州島にはムルジャンオリオルム、ムルヨンアリオルム、ムルチャッオルム、サラオルムなどに火口湖である山頂湖があり、その他にも、漢拏山1100高地、朝天邑トンベクドンサン、涯月邑スムンムルベンヅイなどに内陸湿地がある。その中でもムルジャンオリ湿地、ムルヨンアリ湿地、1100高地湿地、トンベクドンサン湿地などはその価値が認定されて、ラムサール湿地として保護されており、済州特別自治道はムルチャオルムとスムンムルベンヅィもラムサール湿地登録を推進している。小さな島に国際的な保護価値があるラムサール湿地が4か所もあるのは、稀な例である。

ムルジャンオリオルムは海抜937mに位置している。ムルジャンオリは漢拏山、霊室とともに済州島の3大聖地と呼ばれ、済州島の造物主であるソルムンデハルマンが落ちて死んだという伝説があるほどの水深があった。しかしながらそれも今ではしだいに陸化しているのが実情である。そこには絶滅危機野生植物である山芍薬だけでなく韓国特産種であるAsarum maculatum Naka、Hepatica insularis Nakaiを含む180余種の管束植物が育ち、鷹、八色鳥、鳶、ツミ(雀鷹)、三光鳥、タガメ(田亀)などが棲息する生物多様性の宝庫である。

   
▲ (上)ムルヨンアリ湿地  写真提供:済州特別自治道、 (下) 沿岸湿地    撮影:尹龍澤
海抜508mのムルヨンアリオルムの頂上には湿地が形成されカンガレイ、イグサ、溝蕎麦など多様な植生をなしている。湿地の水源は雨水に依存しており、日照りの場合には、水が減る傾向がある。堆積物の深さは8m以上あり、土壌の有機物の含量が70%程度で、湿地が陸化される過程を研究するなどの学術的な価値が高く、済州島で最初にラムサール湿地に指定された。

1100高地湿地は透水性が高い漢拏山の地質特性を考慮した場合、非常に特異な湿地であり、漢拏山西側の山麓を貫通する1100道路の最も高いところに位置する。この湿地には漢拏山の固有植物であるタンナミズニラ、我が国固有植物である智異山五加皮、絶滅危機野生動物である鷹、ノスリ、ツミ、天然記念物であるチョウゲンボウ、ホトトギス、済州特産種である済州チョウセンサンショウウオ、Primnoa halrasana、Panorpa approximata Esben-Petersen などが棲息している。

トンベクトンサンはコッチャワル溶岩とビルレ溶岩が混在するところで、岩盤でできたビルレにはそのあちこちに湿地が形成されている。トンベクトンサンは北方限界植物と南方限界植物が共存する世界で唯一の独特な森である。とりわけ、トンベクトンサンには世界で唯一のMankyua chejuense、韓国未記録種である ヌカボシクリハラン、法定保護植物であるイチイガシ、法定保護動物である八色鳥、三光鳥、地潜蛙などが棲息している。

海抜717mのムルチャオルム噴火口内部は山頂湖であり、噴火口周辺にはサンカクイなどの湿地植物が分布している。オルム全体の傾斜面はイヌツゲ、モミジなどが密生する鬱蒼とした自然林になっている。東側の崖の下には福壽草の群落が形成されており、その下には環境部が特定野生動植物に指定する貫衆、浦島草、 白芍薬などが自生している。

そして漢拏山の海抜980mに位置するスムンムルベンヅイ湿地は、三兄弟オルム、ノロオルム、サルピンオルムの中央に位置する広い平原であり、主に周辺から流れ込む水と降雨によって高山湿地が維持されている。そこにはタヌキモ科の食虫植物であるムラサキミミカキグサが約3800㎡にわたって自生していることが確認された。

湿地は周辺よりも低いところに位置するので、周辺の廃棄物が集まってきて、それらが多様な生物資源によって浄化されるところである。したがって、湿地には数多くの生物が集まり、暮らしたり、一時留まった後に去ったりすることを好むのである。そうした点から見れば、湿地は汚染物質の消滅所であり、多様な生物の生産所であり安息所である。一言で言って、湿地はあらゆる生態系の子宮であり、豆畑(糧)なのである。私たちが沿岸湿地と内陸湿地をしっかりと保全しなくてはならない理由もそこにある。


尹龍澤(ユン・ヨンテク)
済州大学哲学科 敎授。耽羅文化硏究所 所長。済州道 西帰浦市 江汀で生まれ育った。東国大学にて哲学博士学位取得。済州島の文化・環境・平和運動に参加する傍ら、関連文献の執筆に勤しんでいる。代表的な著書として『済州島の新舊間 風俗硏究』がある。 

 

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ムルヨンアリ湿地 写真提供:済州特別自治道
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