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黒潮の島
黒潮に乗って文明と自然の交流
2012.02.26 (日) 朱剛玄 contributor@jejujapan.com

 済州島再発見 


海では人間だけが移動するわけではない。
海流にしたがって移動する動物と植物、
そしてそうした移動がもたらす文化的影響に
注目すべきである。


   
▲ (左から) 暖かい黒潮、 種子島の文珠蘭(浜木綿)、馬羅島 のサボテン   撮影:朱剛玄

済州島は改めて言うまでのこともなく島である。海を介することなくしては人間社会が成立しえない空間である。済州を取り囲む海には当然のごとく、海流が流れている。風はもちろんのこと、海流を抜きにしては、遠距離に亘る大移動を考えることなどできはしない。済州島に最も大きな影響を及ぼす海流は暖流である。真冬であっても済州島と日本の九州、さらには、 鬱陵島 、独島近海まで、暖流が赤く染めている。

黒潮の源流は 北赤道海流である。台湾の東側から沖縄諸島、奄美大島諸島へと北上し、日本の九州の下のあたりで二つに分岐する。馬羅島から「イオド(離於島)」の海洋科学基地を経て、台湾と九州、沖縄、そしてはるか遠くのフィリピンまで、強力な黒潮海流が延々と伸びる。

道は陸地にだけ存在するわけではない。むしろ、先史古代には海の道が重要だった。古代の風力を利用した海の道は、改めて言うまでのこともなく、風の力の後押しがあってのことだった。しかも、海では人間だけが移動するわけではない。海流にしたがって移動する動物と植物、そしてそうした移動がもたらす文化的影響に注目すべきである。済州島に甚大な影響を及ぼした黒潮がもたらした文明の贈り物、それを「黒潮ルート」とでも命名することができるだろう。

   
▲ 黒潮海流図

文珠蘭(浜木綿)サボテンルート
下道里のウサギ島(トッキソム)には文珠蘭(浜木綿)が一面に花を咲かせている。その亜熱帯植物がいつウサギ島に定着したのか誰も知らない。遥か遠くの南方の海から海流に運ばれてきて、そこに定着したものと信じられている。涯月邑官令里や馬羅島には「百年に1回花を咲かせる」と言われるサボテン百年草群落に出会える。いつのことかサボテンが海流に運ばれてきて海岸に定着し、今ではすっかり自生植物になりおおせている。


ブリとサバルート
毎年12月になると済州島西南端の摹瑟浦 港ではブリ祭がたけなわである。黒潮暖流にしたがって上ってきたブリが、1か月余にもわたって豊漁だからである。ブリは春から夏にかけて北に、秋から冬にかけては南にといったように、南北の回遊を繰り返す。攻めあがってくる黒潮暖流のおかげで南方魚類であるブリが済州沿岸に押し寄せる。サバやマグロなどの背の青い魚も黒潮に乗って上ってくる。


鯨と亀ルート
沖縄から済州島近海、韓半島西海沿岸と東海沿岸のことごとくが鯨の本拠地であった。コクジラのようにオホーツクから下ってくる北方鯨もあるが、その他の数多くの鯨が、韓半島本土と済州島、そして日本との間の海で捕獲された。日本の捕鯨船団がとんでもない数の鯨を捕獲した。黒潮海流は太平洋の鯨が上ってくる要路だからである。

ボルネオの南シナ海に接した海岸や沖縄の北の屋久島のような島は、海亀の産卵地として今でも有名である。そうした産卵地から海亀が黒潮に乗れば、実に容易に済州島や韓国本土へ上ってくることができる。韓国の漁師たちは海亀がたまたま網にかかりでもしたら、龍王の子供と見做して、マッコリまで飲ませて、送り出す。韓国人にとっては海亀が神秘的な存在で、それほどに貴ばれている。海亀の故郷は南方で、黒潮に乗って来るうちに、道に迷った1,2匹が韓半島沿岸で獲れる程度だからである。

黒潮海流の不断の運動を見ていると、済州島を「陸地に付属した島」ではなく、「太平洋に一歩踏み出した島」として理解する必要がありそうな気がする。地図を逆さにして見ると、済州島は太平洋の奥深くに進出している島である。その南側に数多くの島国があり、黒潮海流が上ってくる途中に済州島が位置する。黒潮は台風を駆り立ててくる恐ろしい海流ではあるが、その一方で、あらゆる文物をもたらしてくれた恩深い海流でもある。黒潮海流について、それを詳細に知れば、済州島がさらに一層正確に見えるようになるだろう


朱剛玄
慶熙大学にて文学博士(民俗学)学位取得、高麗大学にて文学博士(文化財学)修了。済州大学碩座敎授(韓国学)、海洋文化研究院長、2012麗水国際博覧会海洋水産諮問委員。イオド島研究会海洋アカデミー院長、季刊『海洋と文化」編集主幹など。著書としては『済州紀行』『韓国文化の謎』『赤道の沈黙』『觀海記』など多数。

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暖かい黒潮  撮影:朱剛玄
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