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「新舊間」風俗
2012.02.02 (木) 尹龍澤(ユン・ヨンテク) contributor@jejujapan.com

なお生きている済州神話、「新旧間」風俗

(神の交代期間で神が留守をする期間の風俗

   
▲ (左から時計回りで)昔の新旧間の引越し風景   写真提供:済州特別自治道、   昨今の 新旧間の引越し風景、  済州島での独特なセール風景―家電製品の 新旧間のセール    撮影:高恩英 

済州島には「新旧間」という独特な歳時風俗がある。済州の民間では大寒の5日後から立春の3日前までに家の修理をしたり引っ越しをしたりする。

済州島には1万8千の神がいるという。しかし神々の故郷と呼ばれる島ではあっても神がいなくなる時がある。それがすなわち新旧間である。昔の済州の人々は「その期間には玉皇上帝の命を受けて地上の仕事を管掌している神(旧官)たちが天に上り、新しく任命された神(新官)たちがまだ下りてこず地上に神がいなくなるので、その間だけは、普段は神が恐ろしいからと慎んでいたことをしてもいかなる災いもない。しかし、平素にそんなことをすれば、その家には大きな患いが襲い掛かかるなど災厄を免れがたい」と信じた。

そうした俗信に則る新旧間の風俗は文明開化の今日まで守られてきた。済州島の人々は新旧間、即ち1月25日から2月1日の間に主に家を修理し転居し、新しい家具や家庭用品などを整える。そのために、済州道ではおおむねこの期間に不動産の売買と賃貸契約がなされ、大型スーパーでは安売りセールを行う。

民俗の研究者たちは新旧間の淵源を「大寒の5日後から立春の2日前までの間は新歳と旧歳の官神が交代継承する時である。・・・その際には諸般の凶殺が克服されるので家を建て祭祀を執り行っても不利益はない」とする「歳官交承[交代継承]」に求める。そうした「歳官交承」は朝鮮時代後期(18世紀中から19世紀末)に官庁と民間で広く使用されていた吉凶預言書である『天機大要』と家庭宝鑑である『山林経済』とに記されている。

なるほど新旧間の風俗と「歳官交代継承」とが全く無関係であるとみなすのは難しい。しかし、それらの書物が朝鮮時代後期に全国的に広く読まれたにも関わらず、当時の歳時風俗を扱った他の書籍のどこにも新旧間風俗については触れられていない。「歳官交承」の内容が全国的に広く知られるようになっていたとしても、済州以外の本土には新旧間風俗といったものがないのである。その理由は、その時期が厳冬であり、家を修理したり転居することなど想像もできないからである。

新旧間、即ち、1月25日から2月1日頃までは全国的に最も寒い時期である。その時期は済州島でも一日平均気温が5度未満にまで落ちる唯一の期間であり、冷たい風まで吹いて肌が痛いほどで、一年で最も厳しい寒さを感じさせる。しかしながら、済州島では立春を起点に再び一日平均気温が5度を越えるようになり、生命活動が活発な春が始まる。したがって、済州人たちは立春を「新しい季節が巡ってくる日」、すなわち新しい季節が始まる日として、立春クッ(祭)をする。

高温多湿で常々細菌感染に苦しめられてきた昔の済州人たちにとって、新旧間は疾病から自由になりうる唯一の期間だった。平素にはトイレの改築、家の修理、転居などをすれば禍を招くが、新旧間ならば大きな災いが起こらないという俗信は、平素には細菌感染の可能性が高くてできなかった事なども、微生物の活動が鈍化して最も寒い時期である新旧間であれば問題が生じないという合理的な根拠と符合する。

自然の純理にしたがって農耕生活を送っていた時節には、新旧間は季節の循環過程における旧い季節から新しい季節への変わり目であった。済州人にとって新旧間は単純な農閑期ではなく、それまで延び延びにしてきた家内の事などを急いで終えねばならない時期だった。土地が痩せているうえに厳しい気候という自然環境に打ち勝つために、済州人たちは植物の成長が可能な時期には農作に専念せねばならず、農作以外のことは新旧間を利用して行っていたのである。そうした点において、新旧間風俗は自然の流れを捕捉し、それに順応しようとした済州人の智慧の一側面を垣間見せてくれる。

現代人は夏には冷房をかけて冬の果物を食べながら過ごし、冬には暖房機をかけて夏の果物を食べながら過ごす。季節に逆らう生活を営み、相当な高費用を支出して、莫大な化石エネルギーを枯渇させながら、地球温暖化を加速させている。人類が持続可能な社会に変わろうとすれば、できうる限りエネルギーを使わない低エントロピー社会を実現しなくてはならない。そのためにも、私たちは新旧間風俗を通じて、季節にふさわしい暮らしを営むべく努力していた昔の済州人の意志を読み取って、それに学ばねばなるまい。

 

尹龍澤(ユン・ヨンテク)
済州大学哲學科 敎授。耽羅文化硏究所 所長。済州道 西帰浦市 江汀で生まれ育った。東国大学にて哲学博士学位取得。済州島の文化・環境・平和運動に参加する傍ら、関連文章の執筆に勤しんでいる。代表的な著書として『済州島の新舊間 風俗硏究』がある。

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