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芸術は遊び、 李曰鐘の中道の世界
2012.01.18 (水) 田殷子 contributor@jejujapan.com

 芸 術 空 間 

 
   
▲  済州生活の中道、 2008、  151×222cm

創作者には遊びの要素が数多く見出される。芸術にあっては「労働と遊び」が分離しがたく結びついているからである。創作者にとって最も辛いのは、反復的な単純労働だろう。そうした機械的な行為には遊びの悦びがあるわけもない。

島から島を見ることのできる場所、漢拏山の南側に位置し、海の光が眩い西帰浦に一人の画家がねぐらをつくった。済州島を自分の私有の庭園と考える人、その人こそ李曰鐘画伯である。

1990年、当時秋溪芸術大学校教授だった彼は「自分は何者で、芸術は自分にとって何なのか?」と、画家としての人生を熟考し始め、最も重要なある瞬間を逃せば芸術的な時間をことごとく取り逃がしてしまうということに気付いた。こうして現実的な生と芸術との間の果てない彷徨のあげくに、済州に定着した。

   
▲ 済州生活の中道、 2007、 90×180cm

彼は画家としての人生のために、教授職を辞して全く所縁がない済州に向かった。家族がいる場所とは正反対の方向に、いかなる保障もない場所に、先の知れない芸術に向かって走っていた。彼のそうした断固とした決定こそは、画家としての人生に向けての意志の始まりだった。不安な未来に向かって旅立った彼に、煩悶がないはずはなかった。ソウルを去って体は済州に下ってきたが、心の整理はたやすいものではなかった。

李曰鐘は心の整理がままならないままに、筆と紙を捨てて、2∼3年にわたってレリーフの作業に没頭した。貼り付けては貼り付けるといった作業に疲労困憊したが、精神的な喜びがあった。そして済州で始めたレリーフを集めて個展を開いた。意外と反響はよかったが、画壇の視線は冷たかった。「これが韓国画だなんて、彫刻じゃないか」といったものだった。しかしながら、彼は意に介さなかった。伝統にこだわるつもりなどなかった。時代が変わり、それにしたがって人々の意識も変わる、と彼は考えていた。

作業で疲れると彼は自然の中に入って、樹木と野生の花々を見て回った。それらは不思議なほどに互いに迷惑をかけずに秩序を保って育っている。そこで共生と秩序を実現している生命の力を見た。大地に頼る小さな生命にも共生と哲理があった。野生花を通して、生命の習性と自然の理知にしたがって生きている万物の道を学んだ。

絵は、思うがままに、感じるがままに、心にしたがって、気楽に描けばいい。彼は多作で勝負をかけた。多作には倦まずたゆまずの勤勉性と労働量を要する。そのために、無理な作業で彼は一時ひどく体調を崩した。しかし、その辛さも自粛しろという警鐘だと受け入れて、腰を低くした。天地間の高低のどこに違いがあろうか。姿勢を低くすることは、日常において均衡が取れた調和を夢見ることである。腰を低くすることは腰を曲げること(屈服)ではなく、中道のために心を開くことなのである。

 李曰鐘の作品中で特に目を惹くのは香炉である。香炉は脳出血で急死した長年の旧友を偲んで制作された。香炉から出る煙気は縁起説に基づいて動く私たちの生の姿に似ている。だから、李曰鐘は私たちの人生を緣生緣滅だとする。

西帰浦に定着して21年。李曰鐘は、「西帰浦の日鐘」という自署にもみられるように、西帰浦で宇宙と連結した日常の世界を見る。彼の作品に登場するゴルフ場の風流も済州の新たな風情画になった。見事に咲き誇る赤い椿も山戰水戰をすべて経験してきた私たちの同伴者であり、そうした自然の中でさえずるメジロもまた、私たちの世界の一員で、美声に恵まれた友達なのである。彼のエロチシズムはこの地の美しい価値に寄り添い、市井の個々人が楽しむ雑技も生きていく方式であることを教えてくれる。その自然さ、強制が介入しない生、乱れているかに見えるところに秩序を見出す彼の慧眼は、今日も正房瀑布の向こうでたゆたう西帰浦の青い海を見下ろしている。

田殷子(李仲燮美術館キュレーター )    contributor@jejujapan.com

 


        作家プロフィル                            

   
 
             李  曰  鐘          

1945年 京畿道華城にて出生
1970年 中央大学校絵画科卒業
1988年 建国大学校教育大学院卒業
1974年 第23回国展文化広報部長官賞受賞
1983年 第2回美術作家賞受賞
1991年 韓国美術家賞受賞(美術時代)
2001年 第5回月田美術賞受賞
• 個展及び団体展多数
 

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